相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
April 4, 2016
「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」についてみていきたいと思います。
相続により取得した財産を、相続開始後から3年10月以内に譲渡した場合には、
相続税の取得費加算の特例があり、所得税や住民税の負担を軽減することができます。
不動産を売却して、売却益がある場合はその売却益に対して所得税や住民税等の税金がかかります。
具体的には下記のような算式で売却損益(譲渡所得といいます)を算出します。
譲渡所得の金額(売却益の金額) = 売却価額 -(取得価額+譲渡費用)
☆売却価額とは、要は、不動産の売却金額です。
☆取得価額とは、その不動産を取得した時にいくらで買ったかということですが、
通常は売買契約書などで確認できます。
☆譲渡費用とは、不動産業者の仲介手数料やその不動産を売却するための測量費、印紙などです。
通常の場合、不動産の譲渡所得は、この算式で計算しますが、
取得費加算の特例を使うと譲渡価額から、さらに「取得費加算額」を差し引くことができます。
取得費加算額とは?
「取得費加算額」とは、納付した相続税額のなかで、その者が相続した財産の価額のうち、
売却した不動産の価額が占める割合を掛けた金額のことです。
実際に例でみてみましょう。
【例】長男が下記のような条件で父親から不動産を相続した場合
(1)相続した財産の合計4、000万円
(内訳) 不動産3,000万円 + 預貯金1、000万円
(2)不動産の売却価額
1500万円 / 取得費1000万円 / 譲渡費用 100万円
(3)相続税 400万円
<取得費加算額の計算>
400万円 × 3,000万円 ÷ 4,000万円 = 300万円
※この300万円が、譲渡価額からマイナスされます
<不動産の譲渡所得の計算式>
1500万円 -(1000万円+300万円※+100万円)=100万円
取得費加算の特例がなければ、400万円だった譲渡所得が、100万円になります。
長期譲渡(譲渡年の1/1現在で、5年経過したもの)であれば、
最低20%(所得税15%、住民税5%)となりますので、
この例でいいますと、譲渡税は80万円から20万円になります。
復興特別所得税の計算は、考慮してません。
不動産を相続した場合は、取得費加算の特例が使えないか、
相続開始後、3年10月は、気をつけているといいかもしれません。