相続開始前3年以内の贈与について
今回は、「相続開始前3年以内の贈与」について投稿します。
(1)相続の前に財産の贈与を受けた場合
被相続人の死亡前3年以内に生前贈与を受けた財産がある場合、その財産は相続税の課税対象に加算され相続税が計算されます。
◆相続開始前3年以内に財産を贈与すると
相続または遺贈によって財産を取得した人が、
相続が発生した3年以内に被相続人から財産の贈与を受けている場合、
その贈与を受けた財産も相続税の課税対象となりますが、
納めた贈与税は相続税額から差し引くことができます。
◆贈与税の基礎控除(110万円)も加算対象に
暦年贈与の場合には年間110万円の基礎控除がありますが、
被相続人の死亡前3年以内の贈与の場合は、
たとえ110万円の範囲内であっても、相続税の課税対象になるので注意が必要です。
ただし、この「相続開始前3年以内の贈与財産の相続財産への加算」は、
相続や遺贈で財産を取得した人を対象とするもので、それ以外の人には適用されません。
故に、本来の相続人でありながら、3年以内の生前贈与のみで財産を取得した者は、この加算対象になりません。
また、相続の開始が近いと考えられるケースでは、法定相続人以外の親族(孫やひ孫など)への贈与は、とても有効といえるでしょう。
ただし、生前贈与により財産を取得した孫やひ孫などが、遺贈により財産を取得すると、この加算対象にもなりますし、相続税額の2割加
算(注)の対象にもなってしまいます。
なお、相続時精算課税制度を選択している場合には、全贈与財産が相続時に加算されます。
(注)相続税額の2割加算とは、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)及び配偶者以外の人である場
合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されることを言います。
(2)配偶者への自宅の贈与
婚姻期間20年以上の配偶者に対し、自宅の土地、建物、自宅を取得するための金銭を贈与した場合には2000万円まで
贈与税はかかりません。
相続開始前3年以内の贈与であっても、この2000万円部分に対しては贈与税も相続税も課税されないこととされています。
生前贈与をご検討中の方は、十分に検討されてから贈与することをお勧めします。